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コラム/素材

台頭する非鉄リサイクル材は
サステナブル社会への兆し

川島グループの軸となる中心的な事業は、非鉄金属のリサイクルです。
「非鉄金属」という素材について、金属を取り扱っている方以外“聞き慣れない”と思う方も多いのではないでしょうか。

以前、本コラム「非鉄金属っていったい何?」でも紹介していますが、非鉄金属は銅や亜鉛、アルミニウム、金や銀、レアメタルなど、鉄以外のすべての金属を指します。

そして、非鉄金属は様々な製品の素材となって、私たちの普段の暮らしの中に深く入り込んでいます。例えば、いまや生活インフラ化しているスマホや電気製品。EVシフトが進む自動車も非鉄金属がなければ作れません。また、交通インフラである新幹線の車体はアルミ製であり、家庭に電気を届けてくれる電線にも銅やアルミが使われています。非鉄金属は、現代社会の基盤を支える重要な役割を果たしています。

今回取り上げるのは、この非鉄金属に関する話題です。

増加する非鉄リサイクル材の活用

モデルチェンジがある度に世間の大きな関心を集めるスマホ「iPhone」。スペックや機能、カラーなど、新機種への興味はいろいろとありますが、中でも興味を引いたのが非鉄金属のリサイクル材料が数多く用いられているという内容です。

本コラムでは「注目を集める再生金属 世界的企業の取り組みから考える」で米アップル社のiPhoneのリサイクル材への取り組みを取り上げています。「iPhone11」が発売された2019年9月当時は「主要部品にリサイクルされたレアアースを使用する」との内容でした。

それから4年。つねにリサイクル材の活用を前進させてきた同社。今回発売されたiPhone15シリーズは、内部構造材に100%再生アルミが採用され、バッテリーに再生コバルト100%、USBコネクタに100%再生金、電磁誘導充電器に100%再生銅ホイルなど、金属素材7種類で100%のリサイクル素材が活用されているとのこと。

そしてもう一つ、注目したものとして建材の話題があります。LIXILが国内初のリサイクル率100%アルミ形材の受注を開始したという内容です。こちらは原料調達から輸送、生産までのCO2排出量を数値化する第三者認証を取得。「これにより建設時に使用する建材の環境への影響を定量的に示すことが可能になり、低炭素建材を使用した建築物の価値向上に貢献します」(同社プレスリリースより抜粋)と伝えています。

こうしたことから感じるのは、リサイクル材は業界をリードする大手企業が次々と力を入れて取り組む先端素材になっており、資源循環の仕組みづくりが進んでいるということです。

大幅にエネルギーを節約するアルミリサイクル

例えばアルミの場合、採掘した鉱石(ボーキサイト)を原料として作る新地金においては、精錬をする際に電気分解を施します。そして、この時に大量の電力が使われます。

日本は、アルミの新地金を100%輸入に頼っていますが、1934〜2014年までは国内でも新地金の生産が行われていました。生産がなくなった原因は、電力コスト。1970年代に起きた二度のオイルショックで電気料金が高騰し、電力コストがかかり過ぎてしまったことから各社撤退せざるを得ない状況になったようです。

一方、アルミをリサイクルして地金を作ると電気分解の工程が必要ありません。新地金から作る場合に比べてわずか3%のエネルギーで済むとされ、CO2排出量削減にもつながります。

2050年のカーボンニュートラル実現へ向けて

世界で多くの国が2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと表明しています。そして、日本も2020年にカーボンニュートラル宣言を発表しました。

ハイテク化が進む中で非鉄金属はますます必要とされ、需要が伸びていく素材です。カーボンニュートラルやサステナブル社会の実現に向けて、非鉄金属のリサイクルはさらに大きな役割を担っていくことになるでしょう。

その業界に携わるグループとして、私たちも技術と志を持って事業に取り組んでいます。川島グループでは、グループのYouTube番組「カワシマR–TV」で各社の事業活動から採用についてまで、グループに関する様々な情報を紹介しています。興味を持たれた方は、ぜひこちらもご覧になってみてください。

参照:一柳朋紀著『最新 非鉄金属業界大研究 第2版』産学社,2022
『非鉄リサイクル材多用 銅など7種が100%再生』産業新聞,2023–9-19
LIXIL プレスリリース『国内初 リサイクルアルミ使用比率100%の低炭素型アルミ形材「PremiAL R100」受注開始』2023-09-06(参照:2023-09-21)
一般社団法人 日本アルミニウム協会『日本のアルミ産業(構造・原料輸入)|アルミの基礎知識』(参照:2023-10-13)

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