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コラム/資源

地域で掘り出す都市油田
使用済み食用油も大切な資源

いまは広く知られるようになった「都市鉱山」という言葉。

スマホをはじめとする小型家電には、様々な金属が使われています。その中には金やレアメタルなど再利用できる貴重な鉱物資源があります。この状態を鉱山に見立てた表現が「都市鉱山」です。都市鉱山でメダルをつくるプロジェクトがあったのも記憶に新しいですね。

では、もうひとつ「都市油田」という言葉を知っていますか?

油田なんて海外の話でしょ、と思われるかもしれませんが日本の話です。ちなみに日本にも北海道、秋田県、山形県、新潟県に原油を産出する稼働中の油田はあります。ただし、都市油田のターゲットとなるのは原油ではなく、家庭や生活の中で排出される天ぷら油をはじめとした使用済みの油。これを回収、リサイクルして再利用しようというものです。

そう考えると、なるほど、なるほど。全国の各家庭から油が出るわけですから地域全体が油田ということです。

川島グループと廃油リサイクルの関わり

川島グループは金属リサイクルが中心ですが、じつは使用済み油(廃油)のリサイクルに携わっている会社もあるのです。その会社が東海ケミカルです。

東海ケミカルがリサイクルしているのは、植物廃油と鉱物廃油の2種類。事業活動で排出される廃油を主に回収しています。植物廃油は天ぷら油など植物由来の使用済み食用油のこと。こちらは飲食店やパン工場、給食センターなどから回収しています。

一方、鉱物廃油は石油由来の油を指します。エンジンオイル、ギヤオイル、油圧作動油などが当てはまり、自動車整備工場や製造工場などが回収先として挙げられます。植物廃油、鉱物廃油ともに回収後は異物や水を取り除いて適切な処理をして再生油として販売します。

では、リサイクルした油は最終的にどのように活用されているのでしょうか。

植物廃油は軽油の代替となるバイオディーゼル燃料のほか、塗料・インク、家畜のえさなどに使われます。鉱物廃油はボイラーやバーナーなど、焼却設備の燃料として利用されます。

中でもバイオディーゼル燃料は、環境に優しい燃料として注目を高めていて、航空機の燃料に使う動きもあります。バイオディーゼル燃料は石油系燃料と同様に燃やしたときに二酸化炭素を排出しますが、食用油はもともと植物から作られているもの。植物は成長する中で光合成によって二酸化炭素を吸収しているため、燃焼で二酸化炭素を排出しても大気中にもともとあった二酸化炭素が戻るだけということになり、カーボンニュートラルに当てはまります。また、軽油をバイオディーゼル燃料に置き換えると二酸化炭素の排出量は1リットルあたり約2.6kg 削減できると言われています。これが環境に優しいと言われる理由です。

東海ケミカルはバイオディーゼル燃料の販売や自治体が開設するリサイクルステーションでの家庭用使用済み食用油の回収も委託で行っています。回収したその油は、バイオディーゼル燃料となってごみ収集車の燃料に使われています。

使用済み天ぷら油の処理といえば、凝固剤で固めたり、新聞紙に吸わせたり、牛乳パックへ入れたりして可燃ごみに捨てるのが当たり前だと思っていました。資源が少ない日本ですが、固定観念にとらわれず発想の幅を広げてみると使える資源がいろいろあるものです。ただし、それを普及させるためには、技術の開発、環境貢献への一人ひとりの手間暇、需要と供給のバランスなど、まだまだ課題は多そうです。

大きな変化を起こすのは、小さな一歩の積み重ね。持続可能な社会に向かって資源を無駄にしないようさまざまな取り組みが行われています。気づいたこと、できることから行動を起こし継続する、それが大切ではないでしょうか。

参考:「日本にはまだまだ油田があった⁉︎「都市油田を知ろう!」 」Radi Chubu.2022-8-27(参照2022-12-05)
じつは日本にも油田があるのを知ってますか?今後ますます重要になる原油を産出する国内油田はどこ?」まっぷるトラベルガイド.2022-11-25(参照2022-12-05)
国産原油」JOGMEC(参照2022-12-05) 「秋田・山形県内油ガス田」 石油資源開発株式会社(参照2022-12-05)

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