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コラム/素材

再生材活用が加速する時代
リサイクル現場は起点に変わる

再生材活用が企業戦略になった

今、ものづくりの世界では、大きな変化が起きようとしています。その中心にあるのが「素材に対する考え方」です。

「とくにヨーロッパでは規制強化の動きが進んでおり、その代表的なものが「ELV指令」です。これは、使用済み自動車(End of Life Vehicles=ELV)のリサイクル推進を目的としたもので、「製品を使い終えた後にどう資源へ戻すか」を設計段階から考えることがメーカーに求められるようになっています。こうした流れの中で再生材の活用は、一部の先進的な取り組みではなく、無視できない「前提条件」と変わりつつあります。

この変化をいち早く捉えて対応しているのが、世界のトップランナーたちです。例えば、AppleはMacBookのボディに100%再生アルミニウムを使用するなど、すでに多くの製品で再生材を積極的に取り入れています。そして、自動車業界のトップランナーであるトヨタ自動車も2030年以降の新型車において、重量ベースで3割以上に再生材を使うとの方針を打ち出しました。

現在、先行して採用が進んでいるのは、再生樹脂(プラスチック)ですが、今後は鉄やアルミなどの金属素材にも規制の波が広がる見通しです。素材の選択が企業の競争力を左右する時代がすぐそこまで来ています。

再生材の質は現場で決まる

再生材は単に工場で生まれるものではありません。その本当の出発点は、社会から排出される廃材とそれを受け止める回収現場にあります。そして、リサイクル現場に運び込まれる“スクラップ”という名の資源は、すべてが決まった形をしているわけではありません。

同じ金属スクラップであっても、すぐに再生材として使えるもの、複雑な工程を重ねることで使えるもの、そして現状では再生が難しいものに分かれます。

また例えば、ひと目には同じように見えるアルミパーツであっても、じつは使われている場所によって合金としての成分が微妙に違います。これらが混ざり合ってしまうと再生したときの品質が落ち、メーカーが求める基準をクリアできなくなってしまいます。

そこで厳密な分別、選別技術、成分調整といった見極める力と現場の対応力こそが、再生材の品質、そして「いつでも同じ品質のものを届ける」という安定供給を支える鍵となります。

川島グループのリサイクル現場でも、長年の経験と高い選別技術によって、素材ごとの違いを日々見極めながら資源のポテンシャルを引き出す回収・選別を行なっています。こうした現場の積み重ねが再生材の品質を支えています。

リサイクルの回収は製造プロセスのひとつ

リサイクルは長い間「廃棄処理」という製造後の工程として捉えられていました。しかし、再生材の活用が世界的な前提となりつつある今、その位置付けは見直され始めています。

とくに自動車のように安全性や耐久性が厳しく求められる分野で再生材が積極的に採用されることは、大きな意味を持ちます。素材の品質が設計段階から条件として扱われることになるといえるからです。

この視点に立てば、リサイクルの回収という作業は単なる資源の受け渡しではありません。メーカーが次に製品を生み出すための「素材を整える大切な工程」であり、ものづくりの入口の一部を担っていることになります。

再生材の活用が企業の競争力を高める戦略として機能する時代において、リサイクル現場は製品が最後にたどりつく「終点」ではありません。むしろ新しい価値を作り出す「起点」としての意味を強めていくはずです。

リサイクルが戦略の最前線へ

リサイクルは、もはや単なる環境配慮やコスト削減の取り組みといった枠組みで語られるものではありません。グローバル市場という厳しいビジネス環境において、未来を切り拓く「戦略マテリアル」へと進化し、ものづくりの中心へと組み込まれつつあります。

以前、本コラム「存在感を強める静脈産業 リサイクルが作る未来の資源」にて「次世代のものづくりは静脈産業の存在が不可欠」と書きました。それがリアルな流れとなり、その重要性はさらに高まっています。

リサイクルが戦略の最前線に立つ時代において求められるのは、単なる処理能力ではなく素材の可能性を見つけ出し、次の価値へとつなぐ力です。そこには素材を見極める知見、安定した供給体制、そして製造の現場と連動した視点が欠かせません。

ものづくりを支える「起点」へと役割を変えつつあるリサイクルの回収・選別の現場。その役割の再定義は、これからのものづくりの姿そのものを静かに変えていくのかもしれません。

参照:「トヨタ、欧州素材規制に先手 車重量の3割再生材に リサイクル技術 新たな競争軸」日本経済新聞2026-01-21(参照2026-01−28)
ELV指令とは 車両製造に再生プラスチック使用を義務付け、EU規制」日本経済新聞2026-01-21(参照2026-01−28)

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