GXを支える隠れた主役
資源リサイクルの力と未来
GXって結局何のこと? その全体像を知る
「GX(Green Transformation /グリーントランスフォーメーション)」 という言葉を最近よく耳にしませんか。
「要するに脱炭素のことでは?」と思われる方も多いかもしれませんが、それは半分正解です。GXはただ脱炭素を目指すだけのものではありません。同時に経済成長との両立を図り、持続可能な社会へ導くための壮大な社会変革プランなのです。
私たちは今、年々厳しさを増す猛暑を肌で感じています。気候変動への対策はすでに待ったなしの課題です。そして、カーボンニュートラルは国際的にも共通の目標となっています。ちなみに「脱炭素」とは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を削減し、最終的にはゼロにする取り組みのこと。「カーボンニュートラル」は、CO2の排出量と吸収量をさまざまな方法で相殺して実質的にゼロにする考え方です。
日本は2020年10月に「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と宣言しました。その実現に向けた取り組みを加速させるために提唱されたのが、このGXです。
経済産業省の「METI Journal ONLINE」 では、GXについて「化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革や実現に向けた活動」と説明しています。その代表的な取り組みが、太陽光発電、風力発電といった再生可能エネルギーを主力電源化していくことです。また、GXのスムーズな実現に向けて、政府は2023年からの10年間で20兆円規模の投資支援を行う方針を打ち出しています。このことからもGXは、日本の未来を左右する重要な国家プロジェクトということがいえるでしょう。
なぜリサイクルがGXの鍵を握るのか
GXを象徴する技術や製品といえば、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)が代表的です。これらには多くの非鉄金属、なかでもレアメタルが使われており、そのニーズは世界的に急増しています。とくに銅、ニッケル、コバルトといった金属は、供給リスクが高いことから「クリティカルミネラル(重要鉱物)」として注目が高まっています。
ただし、こうした金属資源を鉱石から採掘・精錬するには、膨大なエネルギーが必要であり、その過程でCO2も大量に排出されます。これでは環境へ大きな負荷がかかり、本来の目的である脱炭素の実現に逆行してしまいます。
こうした状況を変えるには、“掘る”のではなく“循環させる”という発想が欠かせません。ここに、資源リサイクルがGXを推進する上で鍵になる理由があります。
非鉄金属リサイクルのすごい力
非鉄金属とは、鉄以外のすべての金属を指し、アルミニウム、銅、亜鉛、スズなどが代表的です。ふだんあまり意識しない存在かもしれませんが、私たちの暮らしを支える、欠かせない資源です。
1.環境への貢献
使用済みの非鉄金属をリサイクルして再生地金を製造する場合、エネルギー消費とCO2排出量は大幅に削減されます。たとえば、アルミニウムの場合、天然鉱石から新地金を作る場合に比べ、再生地金の製造ではエネルギー消費量をわずか3%に抑えられると言われています。
2.資源への貢献
日本は多くの非鉄金属を輸入に頼っています。しかし、近年の国際情勢や資源価格の変動を考えると調達リスクが常に伴います。そこで注目を集めているのが「都市鉱山」です。これは使用済み電子機器などに含まれる金属資源を、都市に存在する鉱山に見立てたもの。資源が乏しいとされる日本が、都市鉱山を有効活用することで世界有数の資源国に変貌することが可能です。
3.産業・経済への貢献
リサイクルの回収、選別、再資源化の各プロセスでは、高度な技術とノウハウが必要とされます。その過程で生まれる技術力や付加価値は企業の競争力にもつながります。たとえば、AppleやMicrosoftは、自社製品に再生素材を積極的に採用することで、環境対応企業としてのブランド価値を高めています。川島グループにおいても、アルミ合金事業で水平リサイクルの一翼を担う高度な選別技術を確立するなど、高付加価値のビジネスを展開しています。
資源の循環で持続可能な社会をつくる
GXの実現は、再生可能エネルギーやEVといった「表側」の技術だけではなく、それを支える素材である金属資源の供給構造が重要です。その構造を、いかに環境負荷を抑えながら持続可能な形に整えていくことができるか——リサイクルの役割は、まさにここにあるといえます。
資源を「使って捨てる」のではなく「活かし続ける」。その小さな循環の積み重ねがGXという変革の大きな力になるはずです。
川島グループは、非鉄金属リサイクルを通じて、未来を支える力を育んでいきます。
引用:経済産業省METI Journal ONLINE 『知っておきたい経済の基礎知識〜GXって何?』(参照:2025ー07ー06)
参照:一般社団法人日本アルミニウム協会アルミ缶の部屋(参照:2025ー07ー06)
JOGMEC『カーボンニュートラル実現のカギを握る! クリティカルミネラル』
The ASAHI Shinbun SDGs ACTION! 「都市鉱山とは? 具体例付きで日本の現状や活用メリット、問題点を解説」(参照:2025ー07ー06)